不動産を売却した時の確定申告のやり方

このページに載っていること。

・不動産売却したときの、確定申告が不要な場合

・不動産売却したら、確定申告はいつすればいいのか

・不動産売却の確定申告の流れと必要書類のまとめ

・不動産売却の確定申告にはe-taxが便利

・不動産売却の確定申告、税理士に依頼すると費用はどのくらい掛かるか

不動産を売却したときの、確定申告が不要な場合

確定申告が不要な場合は譲渡所得がマイナスのときのみ

不動産を売却した際に、譲渡所得がマイナスになった場合は課税対象にならないので、確定申告をする必要がありません。確定申告とは課税される税金を明確にするために必要な手続きです。ですので、逆にいうと譲渡所得がプラスで、税金を払わなくてはいけないのに確定申告をしなかった場合は、ペナルティとして税金が加算されてしまいます。

譲渡所得がマイナスとは?

譲渡所得とは不動産を売った時の「売却益」のことです。

不動産の売却額 - 取得額 - 売却経費 = 譲渡所得

譲渡所得がプラスでなければ、利益がでていない、つまり所得がないことになりますので、税金が掛からず、確定申告の必要もありません。

ただし確定申告をしない場合は、税務署から「お尋ね」という確認書類が届きます。これが届いたら、内容を確認して記入し、返送しましょう。不動産を売却したけれど、利益はでませんでしたか、という確認です。

マイナスがでたら節税を考える

譲渡所得がマイナスになると、課税対象ではありませんので、確定申告をする必要はありません。しかし、居住用財産の売却で損失を出した場合は一定の要件を満たせば、給与所得や事業所得から控除できることがあります。

このような損益通算とよばれる方法で節税が可能です。また譲渡損失額が大きく、該当年を上回る場合は最長で4年間、所得税・住民税を軽減できる場合もあります。こちらは繰越控除と呼ばれます。

・特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

・マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

上記の特例の要件に該当すれば、節税ができます。この場合は確定申告をするようにしましょう。

不動産を売却したら、確定申告はいつすればいいのか

「資産を譲渡した日の属する年の翌年の2月16日から3月15日の間」

確定申告は「資産を譲渡した日の属する年の翌年の2月16日から3月15日の間」。

譲渡した日とは一般的には「引き渡し日」ですが、「契約締結日」でも可能です。

※譲渡損失に関わる控除を受ける場合は、2月15日以前でも申告できます

期限をすぎると、無申告加算税、延滞税が発生する

不動産を引き渡した翌年には確定申告が必要になることは分かっているので、事前の準備が必要です。

わからないことがある場合には、確定申告の事前時期になると税務署や公民館などに無料の相談会場が設置されるので、参加しておくこと。必要書類を取り揃えて、バタバタしなくても良いようにしておくことが重要になります。

もし期限をすぎてしまうと、「無申告加算税」と「延滞税」が従来の所得税・住民税と合わせて、請求されます。

無申告課税では税金50万円以内には15%が上乗せ、50万円を超える場合には20%が追加で課税されます。延滞税はその名のとおり、延滞したことに対する税金です。日数によって加算され、期限から2ヵ月内であれば年率7.3%が、それ以降過ぎると倍の14.6%の年率で加算されていきます。対応策はすぐ払うこと、です。

時間があまりにもない、間に合わないといったときには税理士に依頼することも視野に入れるとよいかもしれません。

不動産売却の確定申告の流れと必要書類のまとめ

不動産売却の確定申告の流れ

1月~12月までの「所得額と所得税額」を申告して納税します。不動産売却の譲渡所得税は「分離課税」方式といって、給与所得の所得税とは『別物』として考えて大丈夫です。

①必要書類の準備する

税務署で準備のできるものや、経費の証明や売買契約書のコピーといった自己管理しておかなければならないもの、譲渡した土地の全部事項証明書など法務局で入手しなくてはならないものなど、種類が多くありますので事前に揃えておくのがお勧めです。

②譲渡所得税の計算をする

取得した額、売却に掛かった経費、売却額をもとに計算をします。

③確定申告書の作成

申告書B(第一表・第二表)と第三表(分離課税用)の2通が必要です。税務署の窓口かホームページにで配布しています。国税庁の公式サイトに、確定申告書等作成コーナーというガイドつきの作成サービスがあるので便利です。

④税務署に申請する

税務署に直接持参して提出してもいいですし、郵送することも可能です。e-taxを使えばインターネットで申告ができます。

⑤納税

確定申告の期間内に、必要な納税額を金融機関や税務署にて支払います。

不動産売却の確定申告の必要書類

通常の不動産売却の確定申告に必要な書類

書類入手場所必要な場合
確定申告書B様式(第一表)税務署通常
確定申告書第三表(分離課税用)税務署通常
譲渡所得の内訳書税務署通常
不動産購入時の売買契約書のコピー本人管理通常
不動産売却時の売買契約書のコピー本人管理通常
仲介手数料などの譲渡費用が分かる領収証のコピー本人管理通常
取得費や取得時の経費が分かる資料本人管理通常
譲渡した土地の全部事項証明書法務局通常
登記事項証明書法務局通常
本人確認書類(マイナンバー等)本人管理通常
源泉徴収票本人管理通常

その他、特例の控除の申請をする場合

書類入手場所必要な場合
【当てはまる頻度が高い】
戸籍の附票等の居住していたことを証明する資料市区町村居住用財産の3,000万円特別控除・
10年超所有軽減税率の特例
【場合による】
相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書税務署相続財産を譲渡で取得費加算の特例
相続税の申告書コピー本人管理相続財産を譲渡で取得費加算の特例
被相続人居住用家屋等確認書市区町村空き家の3,000万円特別控除
耐震基準適合証明書または建設住宅性能評価書(家屋を譲渡する場合)指定検査機関等空き家の3,000万円特別控除
戸籍の附票等(10年以上居住の証明書類)市区町村特定居住用財産の買い換え特例
売買契約書のコピー本人管理特定居住用財産の買い換え特例
新居の土地・建物の全部事項証明書法務局特定居住用財産の買い換え特例
耐震基準を示す書類指定検査検査機関や指定保険会社等特定居住用財産の買い換え特例
買換(代替)資産の明細書税務署特定居住用財産の買い換え特例(まだ買い替えていない場合)
戸籍の附票等の居住していたことを証明する資料市区町村マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算と繰越控除の特例
売買契約書のコピー(買い替え)本人管理マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算と繰越控除の特例
新居の土地・建物の全部事項証明書法務局マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算と繰越控除の特例
新居の借入金残高証明書(年末現在)銀行マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算と繰越控除の特例
居住用財産の譲渡損失の金額の明細書(確定申告書付表)税務署マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算と繰越控除の特例
特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰り越し控除の対象となる金額の計算書税務署マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算と繰越控除の特例
戸籍の附票等の居住していたことを証明する資料市区町村特定のマイホームの譲渡損失の損益通算と繰越控除の特例
譲渡資産の借入金残高証明書(売買契約日前日現在のもの)銀行特定のマイホームの譲渡損失の損益通算と繰越控除の特例
特定居住用財産の譲渡損失の金額の明細書<確定申告書付表>法務局特定のマイホームの譲渡損失の損益通算と繰越控除の特例
特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書税務署特定のマイホームの譲渡損失の損益通算と繰越控除の特例

売却の時から準備しておくと実はそんなに大変ではない

前もって知っておくと、契約書のコピーなどの準備に慌てなくて済みます。

売却の段階で適用する特例のことも把握しておくと、段階を踏みながら、しっかり準備ができます。

「あとは確定申告時期を待つばかり」の状態にしておくと余裕が持てます。

不動産売却の確定申告にはe-Taxが便利

e-Taxにはマイナンバーカードと事前登録が必要

e-Taxを利用する為にはマイナンバーカードと事前登録が必要となります。e-Taxでは利用者識別番号という16桁の番号を取得する必要があります。これは税務署で取得したり、書面で取得することも可能ですが、マイナンバーカードが後程必要になるので、マイナンバーカードから登録するのがお勧めです。

マイナンバーカードは書類データの電子証明(インターネット上での本人確認)で必要になります。

国税庁のサイトで確定申告書等作成コーナーにて、確定申告書のデータ作成。作成した申告データをe-Taxを利用して申請できます。

e-Taxのいいところ4選

e-Taxnならどこでも手軽に確定申告ができる

e-Taxはインターネット上のサービスですので、パソコンがあれば自宅からの申告ができます。税務署窓口まで足を運ぶ必要がありません。

e-Taxを使うと還付金の受領が早い

書面の場合に1ヵ月~1ヵ月半掛かる還付期間が、e-Taxを利用すると3週間になります。処理が早くなるということです。

e-Taxのシステムなら税額が自動計算

システムを利用して、税額が自動計算できるので、確定申告がラクになります。使い方も案内表示があり機能面でも便利です。

早めの申請ができるのがe-Tax

『確定申告の期間は毎年2月16日から3月15日』ですが、e-Taxでは1月上旬から申請が可能です。慌てずに余裕を持った申請できるので、「やらなければならない」事は前倒しで終わらせて、スッキリできます。

不動産売却の確定申告、税理士に依頼すると費用はどのくらい掛かるか

不動産売却の税理士費用は譲渡所得によって変動します。1,000万~3,000万円の譲渡所得で10万円~20万円の費用相場です。費用がかかっても、確かな申告をしたい、手間を省きたい、時間がない等のヒトは検討する価値があります。

まとめ

・売却益がなければ確定申告は不要で、場合によっては節税ができるのでマイナスでも確定申告はした方が良いこともある。

・時期は、資産を譲渡した日の属する年の翌年の2月16日から3月15日の間。

・確定申告は確定申告書2種類(申告書B(第一表・第二表)と第三表(分離課税用))と、その他の書類を揃える。

・インターネットでも申告できる。

・税理士に依頼するのもあり。

ひとつひとつ確認しながら進めると、意外とあっさり完了します。「案ずるより産むがやすし」です。

関連記事

  1. 不動産売却費用の一覧

  2. 不動産購入のおおまかな流れ

  3. 不動産売却のおおまかな流れ

  4. 【マイホーム売却3,000万円特別控除】の仕組みや手続き方法を解説

  5. 『【沖縄】コスパが高いハウスメーカー』オススメ4社の特徴